「初めての告白」 枯れ葉舞い散る銀杏並木、 少し距離を空けて並んで歩く二人、 大した会話もなく落ち葉を踏みしめる音だけがやけに大きく響く。 その音と自分の心臓の音が相まって、 周囲の雑音が耳に入らない。 互いに見つめようともせずに黙って俯いて歩く 何を話そうかと言葉を選んでいるが、 言葉を選ぶのすら億劫になってくる。 手をほんの少し伸ばせば貴女の手に触れられるのに、 手を伸ばす勇気もなく、この距離感がかなり遠くに想える。 もうじき銀杏並木も終わる… でも、なかなか言い出せない。 いっそ、銀杏並木が延々と続いてくれればいいのにと思う。 突然お前は私の腕を取り、その豊穣な胸の谷間に包み込む。 お前の心臓の鼓動が腕越しにはっきりと伝わってくる… お前も、俺と同じ心境なのがはっきり分かる。 そして震えるような小声でお前は言った。 「引き返えしましょう…あなたがその言葉を言うまで…」 藤次郎正秀